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自己の内面に向かう

同心円

人は真実を知ろうとして、たくさんの本を読んだり、情報を集めたりする。けれども知識は無限であり、情報はますます氾濫して、何が真実であるかは杳(よう)として知れない。

 

 真実は何かを本当に知りたいなら、人は自分の外側ではなく、内面に向かう必要がある。その理由は冒頭の同心円によって説明される。

 

 人はみな、源から発してこの世を形作る一部である(色分けされた部分)。

 

 自分の外側(円の外側)に情報を求めれば、いくら集めてもキリがなく、かつ自分の目の届く範囲しか集まらない。それに対して、自分の内面を深く掘り下げていけば、究極的にすべてを生じさせる源に行きつくこととなり、すべての根源を知ることができるのである。そこはすべての存在と繋がれる場所でもある。

 

 この円の中心部の何たるかを知らずに外側の知識ばかりを集めても、本当のことは何もわからない。その知識が全体の中でどういう位置を占めるのかがわからないからである。だから徒に知識を増やすことは、ただの偏見を増やすことにしかならない。世の中の博識と称される学者たちの多くが頓珍漢なことばかり言うのもそのせいである。彼らは外側の知識ばかりに目を向け、自己の内面を深めることを知らない。だから彼らの円はドーナツのように最も大切な中心部分が欠落している。もしも円の中心部が何であるかを知れば、彼らは持てる知識のすべてを真に生かすことができるはずだ。

 

 自分の内面を掘り下げることは、実はとても勇気がいることである。その過程において、たくさんの自分の「欠点」や「醜態」が見えてくるからである。それをすべて受け入れ、許すことによってさらに自分の奥深くに進んでいかなければならない。自らを受け入れて許すには大変な恐怖が伴う。「汚いもの」は見なかったことにして押さえ込んで蓋をしてしまうほうがはるかに易しい。恐怖を乗り越えて自己の内面の中心に向かうためには、どうしても反対側から自分を引っ張ってくれる存在が必要である。それはこの同心円において自分の反対側にある同じ色の存在である。

 

 それは自分と正反対の意見を持つ者、自分にないものを持つ者である。表面的に見れば、それは「敵」であったり、自分の人生において関わらない方が無難であるように思える者であったりする。しかし自分と正反対であるということは、プラスとマイナスが引き合うように引力を持ってしまうのである。嫌いなのに気になって仕方なかったり、とてつもない魅力を感じたりするのだ。その最たるものが「本当の相手」である。

 

 だから真実を知りたいのなら、決して本当の相手から逃げてはならない。 

2022年9月1日ブログ記事より転載

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