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こぼれ話(不思議体験)

第1話 幽体離脱と仏壇

韓国にいたとき、幽体離脱の話を聞いた。

私は学生時代にしばしば、疲れてうつぶせになって寝ているとき、自分の身体が逆立ちしているような感覚になったことがあった。 ヘウォン(私のかつての師)にそのことを話したら、「それは幽体離脱だよ。頭さえ離れれば、どこにでも行ける。」と言ったので、本当にそうなったら面白いな、と思っていた。けれども、そのために修行をするとかいうことには特に興味はなかった。

ある日、夜寝ていたとき、自分の身体が物凄い速さで移動するのを感じた。気がつくと、日本の実家に帰っている。目の前に両親が寝ていた。

それが幽体離脱だったのか、夢だったのかはよくわからないが、日本に帰ったときの自分がどこから両親を見ていたのか、あとで気がついて少しぞっとした。

それは仏壇だった。私は明らかに仏壇の中から両親を見ていたのである。生きながら仏壇に入ってしまったのだ。それから私は、仏壇というものは確かに何かの窓の役割を果たしていると思うようになった。

もう一つ似たような話をすれば、私は何度か彼の生き霊を感じたことがある。目には見えないが、確かに触覚で感じるのだ。彼は時々、私を襲ったり、足を引っ張ったり、手を握ったり、首を絞めたりした。いずれも、夜か明け方で、夢だと言われればそれまでだが。でも、彼が手を握っているのを感じたとき、すっと目が覚めると同時にその手が消えたので、惜しくなってもう一度眠りに入っていったらまた手が出現したことがあった。

そのころ彼の精神は分裂状態にあったのではないか。最近はそのようなことはないが。

第2話 消滅

私とJ、Jの母、Jの弟、それに息子とで、イギリスのバーミンガム駅に行ったときのことである。
列車を降りて、階段を上り、コンコースにやって来た。手前に女子トイレ、奥に男子トイレ、その間の向かい側にに改札があり、私は女子トイレに、Jと息子は男子トイレに行って、母と弟は改札の前で私達を待っていた。

さて、私が女子トイレから出てくると、改札の前には誰もいない。あれ? おかしいな。みんな私を置いて行ってしまったのか? そんなはずはない。周りをいくら見回しても二人を発見できない。本当におかしなことだが、私は本気で「三ベン回ってワン!」とでも言ったら出てくるかな、と思い、実際に「三ベン回ってワン!」と言ってみたりもした。けれども二人は現れない。

そうだった! Jさんと息子が男子トイレにはいったんだっけ。そちらに行ってみよう、と改札の前を通って男子トイレに向かって少し歩いてからふと後ろを振り向くと、なんとそこに二人が立っているではないか。
「どこに行っていたのですか?」
「私達はどこにも行かないよ。ずっとここにいて、トイレの入り口を見ていた。それよりあなたはどうして、女子トイレに入ったのに男子トイレが出てくるのか?」

私は彼らが消滅したと思っていたのだが、どうやら消滅したのは私の方らしい。向こうは二人でこっちは一人だから。Jの母は、
「私は病院で勤務していて、幽霊はたくさん見たことがあるが、生きている人間が消えたのは初めてだ。」
と言った。

私はカルロス・カスタネダが市場で別の時空に飛び出してしまった話(「未知の次元」)を思い出した。私も別の時空に飛び出してしまったのだろうか。

誰か、イギリスのバーミンガム駅で、変な東洋人の女性が三ベン回ってワン!と言って消えてしまったのを見た人はいないかしら?

2004.3.7

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