支配・統制・管理する社会から信頼し任せる社会へ
世の中は、人を支配・統制・管理しようとする方向に向かってどんどん進んでいる。支配や管理は間違いなく人々の仕事量を増大させる。多忙を極め、ストレスにさらされ、健康を害する人が増えていく。それは支配される側だけでなく、支配する側の権力者たちとっても同様である。権力者が人々を支配しようとするのは、裏返せば彼らの自信のなさの表れである。支配し統制しなければ、自分たちの地位が脅かされるのではないかと恐れているのである。けれども統制は必ず反発を生み、それを抑え込むためのさらなる強力な支配を必要とする。支配する側の人生も決して安泰で幸せなわけではなく、常にストレスに晒されている。それでも人は支配し管理することをやめられない。
その理由の一つは、人間には「一生懸命働かなければならない」という強迫観念があるからかもしれない。勤勉に働くことは正しいことであると考えられており、何もせずに怠けているように見える人を称賛する人などだれもいない。それゆえ何もしないでいると罪悪感に囚われ、皆、必死で働くことが免罪符であるかのような人生を送っている。
しかし本当に人間は、齷齪一生懸命働くことを求められているのだろうか。
人が活動量を増やせば増やすほど、必然的に人類が消費するエネルギーは増大する。人間が必要以上のものを大量に生産することによって、資源は浪費され、ゴミは増大し、究極的には地球環境が破壊されてしまう。このままではいずれ人間は地球に住めなくなり、最終的には自分で自分の首を絞めることになる。我々人類を育んでくれる地球の立場から見れば間違いなく、人間には齷齪働いてほしくないはずなのだ。
にもかかわらずこのような社会になってしまった根本的な原因は、信頼の欠如である。みんな自分に自信がないのである。ありのままの自分を受け入れることができない。ありのままの自分であってよい、と思えない。自分は常に努力し続けなければならない。他人に認めてもらうためには世間の要求に従わなければならない。自分のことが信頼できないから他人も信頼できない。自分の身や地位を守るためには他人に勝って他人を支配しなければならない。そのような考え方が蔓延している。しかしそれでは全ての人が疲弊するだけで誰も幸せになれない。このようなやり方はもう限界に達している。
この事態を打破するには、まず自分自身を信頼し、そして他人を信頼する必要がある。人は本来、真に信頼されれば、支配され管理されるよりもずっと快く誠実に働くものである。他人を信頼し任せることができれば、仕事量は一気に減る。子育てにおいても子供を信頼することがどれほど大切かは言うまでもないだろう。本当に信頼されて育った子供は、自らの存在に自信を持ち、自分の能力を最大限に発揮できるようになるものだ。
けれども、支配や統制を手放して自らを信頼するというのは、特に男性にとっては容易なことではない。男性エネルギーというものは、外に向かって噴出しようとする力なので、男性は常に自らを制御することを強いられている。制御せずに野放しにしたら、何をしでかすかわかったものではない。だから男性にとって支配や統制は当たり前のことであって、それを手放すなどということは考えられない。現代社会は男性エネルギーの論理によって動いているのである。
それに対して女性エネルギーは外ではなく内に向かう(受け入れる)力なので、支配や統制の必要がない。だから女性は、それらを手放して信頼することが男性よりも容易である。これからは女性エネルギーこそが力を発揮することが求められる時代だ。
男性が自らを完璧に信頼し自らに対する統制を手放してエネルギーを完全に解放するためには、どうしてもそれを受け止めてくれる女性(パートナー)が必要である。男性は決して独りでは完成することができないのだ。けれどもそれは男性が女性よりも不完全で劣っているという意味ではない。不完全なのは女性も同じである。女性は受け入れて信頼することはできても、外に向かって物事を動かす力を発揮することはできない。それは男性の役割である。女性の助けによって自らに対する信頼を勝ち得た男性のエネルギーこそが、世の中を真に変革する力となり得る。それこそが真の陰陽の調和である。
今まで当たり前のように自己統制をしてきた男性が、女性の助けを借りて自己統制を手放す瞬間は、おそらく清水の舞台から飛び降りるよりも大きな勇気を必要とするだろう。その瞬間男性は完全無防備になる。もしもその瞬間に女性に裏切られたら、男性は致命的に傷ついて、永遠の奈落の底に落ちていくしかない。だから女性が自分を受け止めてくれるという100%の信頼なしに、男性はこの舞台を飛び降りることはできないに違いない。
この舞台から飛び降りることができた男性は、まだこの地球に一人も現れていないはずだ。もしもそのような男性が一人でも出現し、真の陰陽の調和が生まれたなら、この地球は一瞬で変貌を遂げるに違いないからだ。
2026年4月2日ブログ記事より転載
