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送信日時: Tue, 10 Apr 2001 06:25:11 +0900 (JST)

 物事を成功させるためには、それが実現することを信じることが必要です。多くの宗教で信じる者は救われると言われます。けれども、実は、信じることほど難しいことはありません。
 信じることとは、希望を捨てずにがんばることではありません。例えば重い病気にかかった人が、治ると信じて一生懸命治療を続けたのにだめだった、ということはよくあります。私自身、小さいころからひどい皮膚病に悩まされていて、それを治そうと病院に通ったり、いろいろな薬をつけたり、さまざまなことをやりました。けれども、皮肉なことに治そうとすればするほど、かえって状況は悪くなりました。
 そんなとき、テレビでヨガの講座を見ていて、病気は表面だけを治そうとするのではなく、身体の中から治さなければならない、心の安定が何よりも重要である、ということを知りました。先生はこう言っていました。「ヨガはそれらを改善するのにとても役立つ、ただし、病気を治そうとしてやっても効果はない、むしろ何も考えず、淡々とやりなさい。」
 この「病気を治そうとしてやっても効果はない」という言葉に、私は何か深いものを感じました。それで、その教えを守って、淡々とやっていたら、最初の頃はやはり病気を治そう、治そうという気持ちが強くて、なかなかそれを捨てられなかったのが、次第にどうでもよくなってきて、数カ月したら、病気のことを忘れてしまいました。すると、気が付いたらすっかり治っていたのです。
 ではなぜ、病気を治そう、と努力することでは病気を治せないのでしょうか。それは、やはり信じることと関係があります。いくら、「病気が治ることを信じて」病気を治そうと努力していても、病気を治そう、と努力すること自体が、すでに病気に対する不安の現れなのですから、実は「治ることを信じる」よりももっと深いところで、「病気は嫌だ」「もっと悪くなったらどうしよう」という恐れを抱えているのです。恐れというものは、人間の意識の中で一番強いものです。ですから、それは「治ると信じる気持ち」よりももっと強く作用します。ですから、それが現実となって現れてしまうのです。
 これは非常に重大なことです。現実に何か悪い状況が起こっているとき、それに対する対策を講じることは、結果的には、その状況を悪化させることにしかならない、ということです。対策を講じること自体が、その状況を恐れている証拠なのですから。
 これをあなた方のやっていることにあてはめればこうなります。つまり、地球の環境を憂い、それに対する対策を講じようとすること自体が、ますます地球の環境を悪化させる原因になる、ということです。なぜなら、あなた方の行動の根源に、「恐れ」があるからです。恐怖から自分の身を守りたい、という思いがあなた方の本質なのです。それなのに、自分達は地球環境を守ることに貢献している、と標榜しているのは、たいへんな思い違いです。
 私は「何も行動するな」と言っているのではありません。私達は地球に生かされており、地球と一体なのですから、当然そのように行動しなければなりません。けれども、本当に地球と一体になれる人は、「恐れ」のない人です。自分を守ろうとしない人です。そのような人は自然に地球と一体の行動をするのであって、そこには「地球にやさしい」だの、「美しい地球を子供達に残している」だのといった考えは一切ありません。地球温暖化や森林破壊についての知識など一切なくても、今目の前にある樹を切った方がいいのか、切らない方がいいのか、自然にわかります。切った方がよければ切りたくなるし、切らない方がよければ切りたくなりません。(地球温暖化や森林破壊についての知識がなければ切るべきかどうか判断できない、と言うことは、その人が地球と一体ではない証拠です。)地球と本当に一体になれる人は、怒りたい時は怒り、泣きたい時は泣き、笑いたい時は笑います。自分の行動は相手と対立するのしないのなどと計算することもありません。
 だから今一番大切なことは「恐れのない人」になることなのです。それがすべての根本です。口ではどんなに偉そうなことを言っても、どんなに善いことをしているように見えても、その人の中に「恐れ」がある限り何一つ成就することはありません。恐れをなくするために必要なのが「恋」です。自分が本当に愛する人と調和することが、恐れをなくする唯一の方法なのです。なぜなら、それが人間にとって一番勇気のいることですから!自分の愛する人から逃げている人は決して恐怖から逃れることができません。
 あなたは「世界すべてを幸せにすることが本当の幸せ!」だとおっしゃいましたね。究極の利他は究極の利己と同義です。世界すべてを幸せにするためには、まず自分が究極的に幸せにならなければなりません。そのためにはあらゆる非難を浴びる覚悟で究極的に傲慢にならなければなりません。それはとてもとても辛いことです。あなたにそれができますか。



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