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人間と環境を生かす微生物の新しいモデル

EMの爆発的エネルギー

比嘉照夫博士
インタビュー 塩田今日子 

この文は次の質問に対する比嘉博士の解答です。

比嘉先生、

ミネサ(韓国)は96年に結成され、生態、環境、クリーンエネルギー、意識開発に関する内容を扱っている隔月刊誌「いま ここ」を発行しています。

先日韓国にいらっしゃった塩田さんからEMについての話を聞き、先生のお仕事に関心を持ちました。特に正反対の性格の微生物が一所に集まってもっと大きな力を発揮するという内容に惹かれました。我々は常に、これでなければあれ、という選択の岐路で葛藤することが多いのですが、EMはこのような葛藤を解決することができる、ひとつの重要な糸口になるようです。特に現在の朝鮮半島情勢を見ると、北朝鮮と韓国という対立構造が互いに融和して相互補完構造に発展することができれば、別れた二つでなくもっと大きなひとつとして、この世界に寄与することができるだろうと思われます。これはまた東洋の相生を意味するもので、相克である陰陽の対立からエネルギーを得ていた既存の体系から、陰陽の調和によってエネルギーを得る、それも爆発的なエネルギーを得ることができる新しい理論体系を打ち立てることも可能でありましょう。

どうか調和した世界へと進むために、相生の原理を用いたEMについて詳しい説明をお願いいするとともに、今後のますますの発展をお祈りいたします。

ミネサ倶楽部 イ ウォンギュ

1999年3月12日

塩田:EMを発見なさった背景と、その原理についてお話ください。特に嫌気性と好気性という正反対の性格を持った微生物の共存がどのようにして可能になったのでしょうか。

比嘉博士:私自身、農薬中毒にかかった経験を通して化学肥料や農薬の限界を悟り、食糧問題や環境問題を解決することのできるいろいろな方法を模索してきました。その過程で植物が病気になったり、土が悪くなったり、農作物の生長が良くなかったり、人が病気になったり、事故が起きたり、悪いことが起こったりするときは、有害な微生物が必ずそこにたくさん存在するということがわかりました。土壌を消毒して悪い微生物を皆殺してしまったと思ってもすぐに悪いものが繁殖して消毒が無意味になるような悪い状態になってしまいます。これは今我々がやっている塩素消毒やいろいろな消毒の結果もっと悪い菌がたくさん出現したという事実と同じことです。ならば良い微生物を(微生物にも良いものと悪いものとがありますから)集めて悪い微生物よりも多くすれば、多数決の原理でうまくゆくのではないかという単純な発想からEM研究は始まりました。

ところが現実的には、どれが良い微生物でどれが悪い微生物かはわからないものです。存在するものにはすべて意味がありますから。見方を変えればそれが現れるということは環境が良くないことを表す信号として貴重な情報になります。それがいなくなって他のものが現れるとすればそれもそれなりの意味があるでしょう。それが現れる「場」の意味です。ですからやたらに良い悪いを決めることはできません。我々は食糧を多く生産しながらも環境を保護し、人間の健康に寄与するという三つの条件を満たさなければなりませんから、その三つに該当するものは何かを考えました。

ならば善し悪しの基準はどのように決めたのですか。

悪臭を放つものは99%悪い、それから強力な酸化を誘発するもの、例えばその微生物の培養液に鉄釘を入れれば瞬時に真っ赤にさびて強力な酸化を促進するもの、この二つを基準にして善し悪しを私なりに分け始めました。すると仕事が大変やりやすくなりました。そのときまで集めた何千という種類の微生物のうちで悪臭を出さないものだけ取り出すと250ぐらいに減りました。その250種類のうち重なっているものを整理したら170~180ぐらいになりました。それでも多すぎます。ですが、魔法の水と呼ばれるパイウォーターのような良い水の中では微生物が生きられないという説があると聞いて、まさかと思い、その不思議な水を利用して培養したら生き延びるものと生き延びられないものとに分かれました。その過程を経ると120ぐらいになりました。ところがそれをひとつずつ扱おうとすると言うことを聞きません。時にはいい結果が出たりもするのですが・・・幸運にも、偶然、すでに悪い微生物がいないということを確認した後だったのでそれらを混ぜて瓶のふたをきっちり閉めたまま、飛行機の時間が間に合わなくてそのまま出張に出かけてしまったことがありました。帰って来てみたら、その容器がぱんぱんにふくれていました。しまった、と開けてみると飛び出してきたものが、とても酸っぱい乳酸の匂いがするので、phを測ってみたら3.5でした。微生物の研究では3.5で何日も生きられる微生物はほとんどいません。だからほとんど死んでしまっただろうと思いました。ところが顕微鏡で見たらたくさんの微生物が生きているではないですか。そのときは嫌気性も好気性も関係なく入れたのですが、それらが偶然、エネルギーが高い状態で閉じこめられて出られないという状況の中で、必要なカップリング(縁組み)をしてしまったのです。そのような過酷な状況に置かれれば本当の対の相手を探し出すようになるのです。好気性微生物は生き残りたい、嫌気性微生物は楽だ、と思っているのですが、そのとき嫌気性の排泄物を好気性が食べ、好気性の排泄物を嫌気性に与えれば液体の中に空気の空間ができます。そうして互いの弱点を分け持ち、互いの致命的な部分を補完してやるのです。しかしそのようなことがどうして起こるのかはわかりませんでした。その後何度も同じ菌を集めて実験したのですがうまくいきませんでした。そのような状況が現実的に存在するにも拘わらず理由がわからなかったのです。次第にわかったことは、光合成菌というEMの中の合成型の菌がいるのですが、その菌が介在するとそのようなことが起こるということでした。

男女の縁組みのように微生物の世界にも仲人がいるのですね。

  

人は微生物は皆消費者(発酵菌と腐敗菌)だと思っているのですが、生産者もいます。光合成菌は植物に近いものです。この生産者的なタイプは実は好気性でもあり、嫌気性でもあります。発酵菌もそうです。本来は好気性なのですが、嫌気性にすれば発酵する力に変わります。結局両者をつなぐものとして抗酸化物質があるということが明らかになりました。抗酸化物質、または抗酸化物質を精製する微生物ならば、嫌気性の微生物であれ、好気性の微生物であれ共存できるということがわかりました。 それで、外見上は全く違っても、抗酸化という--物質を酸化させないで酸化した物質を非酸化させる--機能を持った微生物ならば、性質が全く違うものでもカップルになるということ、ただし、それは光合成菌が間にはさまって結びつけてやるということがわかったのです。そしてこの光合成菌はとても珍しい性質を持っています。訓練すれば限りなく強くなるのです。800℃や1000℃でも死なないように訓練することができるのですよ。海底一万メートルは千気圧ですから、1000℃にもなる条件でもそれらは生きています。海底の熱水鉱床でもです。海底3000メートルの熱水鉱床は300気圧、350℃という条件です。知らない人は、ああそうか、としか思わないでしょうが、これはダイオキシンであれ、PCBであれ、あらゆるものを瞬時に分解してしまうことができる超臨界水という世界なのです。光合成菌の一種はまさにそこでも生きています。しかしこの光合成菌は、カップルになる相手が悪いと、たとえばメタン菌や硫酸菌や悪臭を出す腐敗菌とくっつくと相手が死んでしまうまでじっとしていて決して言うことを聞きません。相手が死んでしまうと柔らかくなるのですが、そのとき乳酸菌や酵母のような相性の良いものが入ってくると、普通のバクテリアのように活動が活発になります。けれども、悪い相手の方の執着が強すぎてなかなか離婚させることができないのです。自然界の中に光合成菌は多いのに、悪い相手を引き離そうとしてもなかなか離れない。

そのお話しを聞いていると、男女間の問題を考えさせられます。相性の悪い夫婦がなかなか離婚できないでいる様子とあまりにもよく似ていますね。

ははは・・・結局私がしたことは、偶然実験に失敗して微生物に過酷な条件を与えたために、悪い相手をみんな殺してしまった、ということなのです。そのとき良い相手が偶然入ってきたというわけです。

時には過酷な状況が必要なのですね。

  

そうです。非常に過酷な状況を作らなければ、大多数の要らないものを引き離すことができません。

現在の朝鮮半島の状況も同じだと思います。今がむしろ和解するのにいい状況だと思いますよ。国際的に過酷な条件にありますからね。

(以下略)

比嘉先生と私の写真

比嘉先生の写真発見! 2011/3/20

【あとがき】

以下は韓国の方に対するメッセージが主なので省略しました。これはインタビューを一旦韓国語に翻訳し、それをミネサが編集して出版したものを再び日本語に訳したものなので、実際のインタビューと一部異なるところがあります。ご了承ください。

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