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学歴と自己肯定感

 将来天皇になる予定の方が、私の母校に進学するらしいという記事を見た。どうやら、彼のお母様が彼を東大に進学させたいようだ。

 私が通っていた頃は、受験教育とは程遠い自由奔放な学校だったから(今でもその校風は生きているらしい)、東大に進学するために有利かどうか知らないが、とにかく、名門校に進学したい(させたい)という気持ちは多くの人々が持つものだろう。

 しかし、一方で大変優秀で東大にも十分入れると噂された方は国文学を学びたいと学習院に進まれた。

 この違いをどうしても家庭環境に見てしまう。 

 彼女のご両親は本当の相手同士であり、祖父母も(おそらく曽祖父母も)本当の相手同士なので、筋金入りの本当の相手血統である。

 本当の相手同士の◯カップルは、ありのままの相手を受け入れ愛することができるから、自分が本当に愛されていると実感できる。自分らしくあることに自信が持てるのだ。

 そのようなカップルに子供が生まれれば、無条件に可愛い。たとえ頭が悪くても、欠点だらけでも、可愛いのである。だから子供も自分が本当に愛されていると感じ、自分の存在が肯定されたと感じる。

 そのような子供は、どんなことにも自信を持って取り組むことができ、結果的に社会で成功することも多い。

 一方、例の彼のご両親は残念ながらカップルである。(お二人の本当の相手も判明しているのでご本人からの要望があればお教えしたい。)

 カップルの場合は、ありのままの自分では相手に合わないので、愛されるためには努力しなければならないと思い込む(もちろんその努力は結局は徒労に終わる)。そして自分の存在価値を確認したくて、愛されなかった代償を、他人に対する優越感や社会における成功、名声によって補おうとする。

 子供が生まれれば当然ありのままの子供を愛することができず、あなたは頑張らなければならない、人よりも優れていなければならない、と教育するであろう。そのように教えられて育った子供は、ありのままの自分を肯定することができない。だから、本当の相手同士の結婚は、子供の教育にとって極めて重要なのである。

 ところで、「優越感」という亡霊はとても厄介な代物である。

 私自身、◯カップルの両親に愛され、信頼されて育ったにもかかわらず、人生のある時期までは、人間は何らかの優越感なしには生きられないのではないかと思っていた。犯罪者などを見ると、彼らは世の中の大多数の人々に「自分はあの人よりマシ」というような安心感を与える役割があるのではないか、と思ったりもした。

 そしてなぜか名門中学に合格してしまい、中高をエリートに囲まれて過ごしたせいで「東大に行くのは良いことだ」という考えに染まってしまった。東大受験に失敗したショックからは長いこと立ち直れず、そこからようやく脱却できたのは、韓国のソウル大学に留学して師匠のヘウォンに出会ってからである。

 今振り返ればあのとき大学受験に失敗して本当によかったと思う。あのときあの亡霊とおさらばできなければ、常にエリートであり続けなければならないという強迫観念から抜け出せない、浅薄でつまらない大人になっていたに違いない。

 しかし、私が真の自己肯定感を持つことができたのは、自分の本当の相手の生き霊に襲われたときだった。

 こんな素敵な人に私はこんなにも必要とされている!

 それは自分の存在意義を真に確認できた瞬間であった。自分がこの世に存在することが許されているんだという確かな感覚。私はこれ以上の自己肯定感を知らない。

(生き霊と言うと嘘くさいかもしれないが、のちにこの話を本人にしたとき、彼が「ただならぬものを感じた」と言ったので、彼にも思い当たるフシがあったのだと思う。)

 

 私が人を判断する基準はその人の深さである。

学歴や年齢は全く関係ない。私を導いてくれた師匠のヘウォンは小卒だったし、私を窮地から救ってくれたのは5歳の息子だった。教え子の学生たちの中にも素晴らしい人がいるし、大学教授の中にもつまらない人はいる。掲示板にしばしば登場する方は、自分の学歴にコンプレックスをお持ちのようだが、私には大学教授よりも遥かに深いように見える。

 もちろん、誰しも本来の深さは持っているのだが、その人が正直さから離れ、自己保身に走るとどんどん浅くなってしまう。だから同じ人でも、ものすごく素敵に見えたり、逆に酷くつまらなく見えたりする。(特に本当の相手はその落差が激しい()

 本物の自己肯定感がある人は自分も他人も愛することができ他人を育て、導くことができる。だから今上天皇がそのような方であることは、日本にとって大変喜ばしいことだ。しかしもしも多くの人が望むように娘さんが天皇になったとしたら、その配偶者には大変な制約がかけられるのではないか。彼女の本当の相手は、もちろん彼女自身も気づいているように、多くの人の賛同が得られにくい人なので、彼女の幸せのためには天皇にならない方がいいのではないかとも思う。

2022年2月15日ブログ記事より転載

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