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過去生の話

私は自分の前世や過去生について、覚えていることはない。とにかく、物忘れが激しいタイプだから。

それにひきかえ、イギリス人のJは自分の前世をよく知っていた。まだ幼児の頃、彼はよくこんな夢を見たそうだ。

飛行機から、爆弾を落としている。
下からは、おびただしい高射砲が…。

大人になって彼は自分が乗っていた飛行機が何であるかを知りたくなり、片っ端から調べた結果、それが零戦であることがわかった、と言う。(ここでひとつの疑問が湧く。なぜ彼は自分の乗っていた飛行機が「見えた」のか? 私がそう質問すると、彼はこう答えた。「たくさんの同じ型の飛行機が、編隊を組んでいたからだよ。」)

ただし、彼にはひとつだけ解決できない疑問があった。夢の中の零戦は、下半分が赤く塗ってあった。けれども、そのような零戦の記録を彼はイギリスでは発見できなかったのである。

ところが、日本に来てしばらくした頃、ある航空雑誌で彼はついにその記録を発見した! その零戦部隊はもともと朝鮮半島の元山にあったが、1945年に鹿児島に移り、4月にすべて沖縄で玉砕したそうである。それを見て彼はやっと「俺は沖縄で死んだのか。」と納得した。

彼が旧日本軍と縁があったらしい証拠は他にもある。二人で靖国神社に行ったとき、彼はそこに展示されている桜花という奇妙な飛行機(着陸できない。つまり人間爆弾。)を見て、非常に懐かしがっていた。

私が自分の前世について人から初めて話を聞かされたのは、韓国留学中のことであった(でもその話をしてくれたのは、なぜか韓国訪問中の日本人占い師。私は日本の「おかしな」人たちに韓国で会うことがよくあった)。

彼女は私とJを見比べて、「あなた達は前世で恋人同士だったが、今日子さんが既に結婚していたので、来世での結婚を約束した。でも二人はソウルメイトではない。」と言った。私は当時、その言葉の重大さに全く気づいていなかった。(そのことを知ったのは月○に出逢ってからである。)

でも、だとすれば、私は戦時中の日本、あるいは朝鮮にいたのだろうか。全く記憶はないが。

ところが、Jと結婚してイギリスに住んでいたとき、Ginger treeという日英合作のドラマを見ていて、私は奇妙な感覚に襲われた。あるイギリス人女性が日本人将校の妾になって日本に来て、男の子を生むのだが、その子が「合いの子」であることで差別されることを懸念した父親が、彼女に内緒で養子縁組をして、彼女から子供を強引に取り上げてしまうシーンを見ていて、私はなぜか号泣してしまったのである。私には彼女の気持ちが痛いほどわかった。でも、それがなぜなのかはわからなかった。

その後日本に帰国して、月○と出逢い、私はさまざまなことを理解した。例の占い師が言っていた、「二人はソウルメイトではない」ということ。それから「来世での結婚の約束」などというものは、何の解決にもならない、ということ。今生での問題は今生で解決してしまわなければ、来世もまた、同じことの繰り返しなのである。つまり、また、結婚した状態で本当に好きな人に出逢ってしまう、ということだ。

さらに、女にとって最も耐えがたい苦痛は、自分が生んだ子供を手放す、あるいは子供を置いて先立たなければならないことだ、ということ。私はあのとき、生まれたばかりの乳飲み子を抱えて、ほとんど死にかかっていた。Ginger treeの彼女の泣き叫ぶ姿は、まさに自分の姿であった。

でも、果たして私はイギリスにいたとき、自分の未来を予見して泣いたのだろうか。それもどうも納得しがたい。それよりも、私は実際に前世で子供を置いて死んだことがあったのではないか。そう思うようになったのは、1996年にある人の夢を見てからである。

私が韓国語を話すのを聞いた韓国人は、みな私に、前世は韓国人だったに違いない、と言う。そうかもしれない。大学の時、15世紀の韓国語を研究していて、誰も理解できなかった部分の意味がなぜか明確に感じられたことがあった。私は当時その場所にいたのだろうか。

いずれにせよ、みんな憶測ではっきりしたことはわからない。でも、いろいろな人と出会う中で、はっきり感じることがある。私は間違いなく、この人を以前から知っていた、と。

過去生のことを知ることはある意味で意味のあることだろう。今、なぜこんなことが起きているのかを理解することができるから。しかしながら、過去生のことを知ったことによって、「このことは来世ですればいい。」と思ってしまうようだったら、はなはだ問題だ。今生で解決できなかったら、来世もまた、その問題の繰り返しなのだから。来生は決して白紙から始まるわけではないのだ。

今、このときを完全に生きてさえいればすべての問題は解決する。

だから、今、目の前にいる愛する人を思いきり愛せばいいんだよ!

2004.3.6

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