Sun&Moonのリンク

これからの時代に生き残る方法について

将来が予測できない、変化の激しいこの時代に、どうしたら「生き残れるか」という方法論には、正直言って興味がない。むしろ他人を押しのけて自分だけ生き残ろうとする態度は嘆かわしいとさえ思っていたのだが、今日はそれを逆手にとって、敢えて私の生き残り論を書いてみようと思う。

何年か前に、衛星放送のBBCでやっていた鉄道旅行の番組の紹介文を見たことがある。それには、つぎのようなことが書かれていた。

「たとえ将来科学技術が発達してUFOが発明され、人々が瞬間移動出来るようになったとしても、鉄道は決してなくならないだろう。なぜなら、鉄道は、目的地まで移動する手段であるだけでなく、それに乗ること自体の楽しみが存在するからである。」

ここに、これからの生き残りの方向性が集約されていると私は思う。

要するに、やっていて楽しいこと、心から幸せを感じられることは生き残る。つまり、生き残るためには、心から幸せを感じられることをやっていればいいということである。

世の中には、医者、警察官、学校の先生等々、社会を構成するためには絶対に必要だと思われている仕事はたくさんある。そして、それらに従事している人たちの中には、自分は社会の中のさまざまな問題を解決するために重要な役割を果たしているのだと感じることを生き甲斐にしている人も多いことだろう。また、そのような仕事に従事していれば、自分の将来は保障されると考える人もいるかもしれない。

けれども、それらがただ問題解決に必要な手段にすぎず、その仕事をすること自体に喜びが感じられないならば、それらの仕事が生き残る保証はない。

たとえば、ある日突然、万病に効く特効薬が発明されたとしたら、病気を治すための医者は必要なくなる。また、世の中の人がすべて突然心を入れ替えて他人を思いやれるようになったら、犯罪を解決するための警察や裁判所は必要なくなる。さらに、万が一人々がみんなテレパシーで意思伝達をすることが可能になったら、学校で先生が知識を教え込む必要もなくなってしまう。

まさかそんなことはあり得ないと思うかもしれないが、現代は今までの常識では予測不能なことが毎日のように起きている、本当に変化の激しい時代なのだ。何が起きてもおかしくはない。

もしもそのようになれば、生き残るためにどうしたらよいかを考えて選んだ仕事はすべて、早晩いらなくなる運命にある。つまり「生き残るためにはどうしたらいいか」を考えれば、逆に生き残れなくなるということである。

こんなことを書くと恐怖を感じる人もいるかもしれないが、何も不安がる必要はない。なぜなら、生き残れない仕事をしている人は、決して幸せではないのだから。彼らは食べていくために必要だとか、自分には社会における責任があるのだとかいう義務感に縛られて、自分を叱咤激励しながら頑張っている。けれども仕事はどんどん忙しくなるにも関わらず、問題は一向に解決しない。彼らはますます疲れ切り、精神や健康を病む人が続出している。彼らも本当はその仕事をやめたいに違いないのだ。

現代の医療現場を見ればそれがよくわかる。医者はますます多忙になり、医療費は膨らむ一方なのに、国民は一向に健康になる気配がない。おそらく多くの医者が心の奥では「医者をやめたい」と思っていることだろう。だから、もしもすべての病気が治る特効薬が発明されたら、彼らは仕事を失う恐怖に駆られつつも、実は内心ほっとするに違いない。その仕事で生き残れなくなるということは、彼らの本当の望みが叶うことに他ならない。

仕事をやればやるほど忙しくなり、疲れ切ってしまうのは、それが問題解決のあるべき方向を外れているからである。たとえば、末期ガンの患者を集めて、毎日大笑いできるような楽しい寄席を開いたら、多くの患者の病状が改善されたという話を聞いたことがある。この寄席で漫才をやっていた人たちは間違いなく自分の仕事を楽しんでいたことだろう。自分がやっていて楽しく、幸せを感じる仕事は、他人をも幸せにする力を持つものだ。

現代社会は、あたかも金と権力を持つ者たちによって意のままに牛耳られているかの如く見えるが、彼らが依って立つ金や権力の力はもはや盤石ではない。利益至上主義や国家主義は行き着くところまで行って、出口を見いだせなくなってしまった。今こそ、新たな価値観の創造が求められている。その価値の尺度こそが、「幸せ」である。

これからは、「本当の幸せ」を生み出せるものこそが、真に価値あるものなのだということに、みんなが気づき始める。人々は「金を生む場所」ではなく、「幸せを感じられる場所」に引き寄せられるようになる。

みんなが自分の幸せを追求したら、自分勝手な独りよがりにならないか、などという心配には及ばない。人が心から本当の幸せを感じられるときはどんなときかをよく考えてみればいい。決して他人を押しのけて自分だけが得をしたときではないはずだ。自分の存在がだれかを幸せにしていると実感できるとき、そのとき以上に幸せを感じられるときがあるだろうか?

人間は、自分が本当に幸せになろうとすれば、必然的に他人を幸せに出来るようにできているのだ。自分が本当に幸せを感じられる仕事をすれば、それが社会にとっても本当に必要な仕事だし、自分が最も幸せを感じられる伴侶を選べば、その相手も本当に幸せになれるものなのだ。実に単純明快なことである。

だから、何も心配せずに幸せになればいい。それこそが、これからの時代に生き残る方法である。

戻る